なまけ者の条文素読帳

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「消費者契約の条項の無効」

☆消費者契約とは「消費者と事業者との間で締結される契約」(消費者契約法・第二条第三項)。

 

消費者契約法(平成十二年法律第六十一号)

 

・第八条(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
・第八条の二(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)
・第八条の三(事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効)
・第九条(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
・第十条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)

 

(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し、又は当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

五 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵 があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除し、又は当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

2 前項第五号に掲げる条項については、次に掲げる場合に該当するときは、同項の規定は、適用しない。

一 当該消費者契約において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該事業者が瑕疵のない物をもってこれに代える責任又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

二 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約又は当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該他の事業者が、当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い、瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い、又は当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

 

素読用条文)


(事業者の損害賠償の責任を免除する条項等の無効)
第八条

  次に掲げる消費者契約の条項は、
   ↓
  無効とする。

  一 事業者の債務不履行により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

  二 事業者の債務不履行(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

  三 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為により消費者に生じた損害を賠償する責任の全部を免除し
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

  四 消費者契約における事業者の債務の履行に際してされた当該事業者の不法行為(当該事業者、その代表者又はその使用する者の故意又は重大な過失によるものに限る。)により消費者に生じた損害を賠償する責任の一部を免除し
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者にその責任の限度を決定する権限を付与する条項

  五 消費者契約が有償契約である場合において、
     ↓
    当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるとき(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があるとき。次項において同じ。)に、
     ↓
    当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除し
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者にその責任の有無を決定する権限を付与する条項

2 前項第五号に掲げる条項については、
   ↓
  次に掲げる場合に該当するときは、
   ↓
  同項の規定は、
   ↓
  適用しない。

  一 当該消費者契約において、
     ↓
    当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、
     ↓
    当該事業者が
     ↓
    瑕疵のない物をもってこれに代える責任
     ↓
    又は
     ↓
    当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

  二 当該消費者と当該事業者の委託を受けた他の事業者との間の契約
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者と他の事業者との間の当該消費者のためにする契約で、
     ↓
    当該消費者契約の締結に先立って又はこれと同時に締結されたものにおいて、
     ↓
    当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、
     ↓
    当該他の事業者が、
     ↓
    当該瑕疵により当該消費者に生じた損害を賠償する責任の全部若しくは一部を負い
     ↓
    瑕疵のない物をもってこれに代える責任を負い、
     ↓
    又は
     ↓
    当該瑕疵を修補する責任を負うこととされている場合

 

(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)
第八条の二 次に掲げる消費者契約の条項は、無効とする。

一 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する条項

二 消費者契約が有償契約である場合において、当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させ、又は当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する条項

 

素読用条文)


(消費者の解除権を放棄させる条項等の無効)
第八条の二

  次に掲げる消費者契約の条項は、
   ↓
  無効とする。

  一 事業者の債務不履行により生じた消費者の解除権を放棄させ
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する条項

  二 消費者契約が有償契約である場合において、
     ↓
    当該消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があること(当該消費者契約が請負契約である場合には、当該消費者契約の仕事の目的物に瑕疵があること)により生じた消費者の解除権を放棄させ
     ↓
    又は
     ↓
    当該事業者にその解除権の有無を決定する権限を付与する条項

 

(事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効)
第八条の三 事業者に対し、消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする解除権を付与する消費者契約(消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く。)の条項は、無効とする。

 

素読用条文)


(事業者に対し後見開始の審判等による解除権を付与する条項の無効)
第八条の三

  事業者に対し、
   ↓
  消費者が後見開始、保佐開始又は補助開始の審判を受けたことのみを理由とする
   ↓
  解除権を付与する消費者契約(消費者が事業者に対し物品、権利、役務その他の消費者契約の目的となるものを提供することとされているものを除く。)の条項は、
   ↓
  無効とする。

 

(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条 次の各号に掲げる消費者契約の条項は、当該各号に定める部分について、無効とする。

一 当該消費者契約の解除に伴う損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの 当該超える部分

二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における損害賠償の額を予定し、又は違約金を定める条項であって、これらを合算した額が、支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、その日数に応じ、当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの 当該超える部分

 

素読用条文)


(消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等の無効)
第九条

  次の各号に掲げる消費者契約の条項は、
   ↓
  当該各号に定める部分について、
   ↓
  無効とする。

  一 当該消費者契約の解除に伴う
     ↓
    損害賠償の額を予定し
     ↓
    又は
     ↓
    違約金を定める条項であって、
     ↓
    これらを合算した額が、
     ↓
    当該条項において設定された解除の事由、時期等の区分に応じ、
     ↓
    当該消費者契約と同種の消費者契約の解除に伴い当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの

    当該超える部分

  二 当該消費者契約に基づき支払うべき金銭の全部又は一部を消費者が支払期日(支払回数が二以上である場合には、それぞれの支払期日。以下この号において同じ。)までに支払わない場合における
     ↓
    損害賠償の額を予定し
     ↓
    又は
     ↓
    違約金を定める条項であって、
     ↓
    これらを合算した額が、
     ↓
    支払期日の翌日からその支払をする日までの期間について、
     ↓
    その日数に応じ、
     ↓
    当該支払期日に支払うべき額から当該支払期日に支払うべき額のうち既に支払われた額を控除した額に年十四・六パーセントの割合を乗じて計算した額を超えるもの

    当該超える部分

 

(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条 消費者の不作為をもって当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。

 

素読用条文)


(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条

  消費者の不作為をもって
   ↓
  当該消費者が新たな消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたものとみなす条項
   ↓
  その他の法令中の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比して
   ↓
  消費者の権利を制限し又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、
   ↓
  民法第一条第二項に規定する基本原則に反して
   ↓
  消費者の利益を一方的に害するものは、
   ↓
  無効とする。

 


消費者契約法=令和元年六月十五日現在・施行)